読書

『優>良>可>不可』で本を評価してます。

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就職する前に知っておくべき『エピソード魔法の歴史』のこと

エピソード魔法の歴史―黒魔術と白魔術』読んだ。

感想

科学が発達した現代から見ると、魔術師のエピソード笑える。
バカっぽいけど、現代でもスピリチュアルとか疑似科学とか……進歩してないなーって。

魔術の誕生

鹿がいなくなったら

「似たものは似たものを生む」という原理に基づいた行動から魔術が始まった。例えば、近くにいる鹿の数が急に減ってしまった場合、魔術師は鹿の皮を着て一対の枝角を頭につけ、鹿のように跳ね回りながら森の中を走った。

模倣呪術と感染呪術

白魔術でも黒魔術でも、模倣呪術(imitative magic)と感染呪術(contagious magic)という2つの形態を持つ。模倣的黒魔術の最も知られている例は、敵の肖像、人形その他彼を象徴するものに危害を加えることである。白魔術での例は、紀元一世紀のローマの博物学プリニウスは、もし他人を殴って後悔したら殴った手に唾を吐けば良いと言った(痛いところに唾を塗ると痛みがなくなるという信仰がある)。また、17世紀半ばまで切り傷の手当として、傷口に薬を塗る代わりに、傷を負わせた刃物に薬を塗るということが応急処置として実施されていた。

魔術の成功と失敗

紀元前4世紀、ヴァレンスが東ローマ帝国の皇帝だった時、数人の臣下がヴァレンスが死んだ後誰が帝位を継ぐか知りたいと思った。彼らは、雄鶏で予言を占う魔術師に相談した。魔術師は、地面にアルファベットを円形に書き、それぞれの上に穀物を一粒ずつのせ、円の中心に雄鶏を放した。雄鶏がつついた文字を適当に並べると予言が浮き出てくるという。雄鶏は、「T,H,E,O,D」の文字をつついた(予め雄鶏が好むものを塗りつけてあったと推測される)。予言は的中し、次の皇帝は、テオドシウスだった(名前のはじめがTHEOD)。ただし、当時王位を継承する可能性がある人はテオドシウスとテオドルスで、どちらも名前のはじめがTHEODだった。だから、この予言は外れるはずがなかった。

魔術師

詐欺師カリオストロ

18世紀半ごろ、カリオストロ伯爵アレッサンドロが5557歳だと称し、ソロモン、シバの女王クレオパトラその他古代の有名人の有人だといって思い出を語り、自分はそういう有名人たちから奇跡を実現する秘密を教わったのだと言った。彼は身分の高いものも低いものからも信用され、美しくするという粉、若返らせるという薬、他人に惚れられるというお守りなどを売った。約20年に渡ってカリオストロはローマ、パリ、ロンドンその他瀬果汁で女王や貴族、枢機卿から寵児としてチヤホヤされた。しかし、誰かがカリオストロを平民のジュゼッペ・バルサモだと見破った。バルサモは無教育な片田舎のイタリア人で十代から詐欺を繰り返してきたのだった。彼は、異端のかどで有罪とされ裁判の四年後に獄中で死んだ。

魔術師の仕事ぶり

ホムンクルス(小人)の作り方

もっとも美しいクリスタル・ガラスで作った大きな、清潔な容器を一つ用意する。
その中に《月が三日月の時に集めた最も純粋な5月の露を1ます分》注ぐ。
それに《健康な若者から採った》血液を2ます分加え、1ヶ月放置する。その頃には澄んだ水が上に、赤っぽい土が下に分離する。澄んだ水を別の鉢に注ぎ移し、それに《動物のチンキを1ドラム》加える。最初の容器に残った赤っぽい物質は、熱を加えながらもう一ヶ月放置する。その物質はだんだん《一種の膀胱》を形作り表面を細い血管と神経が細かい編みのように覆う。四週間ごとにこれに第二の鉢から駅を撮って振りまく。すると《ピチピチという音と生命の動き》がわかる。容器を除くと《極めて美しい一対の少年と少女、あなたが心からの感嘆を持って見つめることのできるもの》が見える。

錬金術

エリアス・アシュモール

イギリスのエリアス・アシュモール(1617-1692)という人が錬金術師のいろいろな書物や処方を収録した本を出版した。その内容は、錬金術師たちがうでに知っていることばかりだったが、彼らは扉に載っている一つの絵を見て大変に興奮した。それは一本の木の根に小さな動物が噛み付いているところを描いたものだった。賢人たちはこの簡単なスケッチの中に多種多様の意味を読み取り、それは偉大な厳粛な神秘を象徴していると信じた。ある人は人間が知恵の木をすこしずつ齧っていると、またある人は心理に到達する新しい道を暗示していると読み取った。またある人はその絵の幽玄な意味を解釈するための詩を書いた。しかし、アシュモール自信がこれらの愚行にストップをかけた。彼は自分の名前の洒落として絵を扉に載せたに過ぎないと打ち明けた。絵の中の木はアシュ(セイヨウトネリコ)を描いたものだし、その根をかじっている小さな動物は、モール(もぐら)だった。

占い師たち

占星術

占星術はすべての星の前兆を読むと称してはいるが、じつは天の半分近くを無視していることである。占星術が発展したのは北半球に限られ、あらゆる人々が地中海周辺の国々こそ存在する世界の全てだと信じきっていた時代である。占星術は赤道の南に未だ目に見える星が難千もあるのを見ることができなかったし、そんなものが存在すると思ってもいなかった。今日の占星術師も彼らの星図に関するかぎり、今なお「平らな大地」の上に住んでいる。

占星術が世界を救った例

占星術はイギリスと全自由世界をナチスから救ったと言われる。ドイツ軍はイギリスに侵入する準備を終えてイギリス海峡に待機していたが、決行予定のH時刻の直前になってヒトラーは突如侵入を延期した。それは「月の闇」で新しい冒険的事業には不吉な時刻だったのだ。こうしてチャンスを失ったナチスは二度とチャンスをもつことはなかった。

エピソード魔法の歴史―黒魔術と白魔術 (現代教養文庫 1010)

エピソード魔法の歴史―黒魔術と白魔術 (現代教養文庫 1010)