絶対音感は音楽家に不要
『絶対音感 (新潮文庫)』読んだ。
絶対音感は音楽家にとって必須のスキルだと考えていたが、絶対音感を持たない音楽家もいるし、さらに絶対音感が音楽活動に悪影響を与えていることがあることを初めて知った。
絶対音感とは、"音が一定範囲の周波数にあるということが分かる" だけのものだと考えていたが、実際は異なる。音感ではなく周波数の記憶だった。
メモ
絶対音感は、音階が分かるというのは初歩的な意味であって、本質的には音のかたまりが響いた時に、それが柔らかいのか、輝いているのか、くすんでいるのかの識別。ベートーヴェンは悲愴な感情をハ短調で表し、柔らかさ、愛、永遠、母性は変イ長調で表した。
ピアノが日本でブームになった当初(昭和9年ごろ)は、公務員の初任給が75円だったが、グランドピアノは950〜1800円であり非常に高価なものだった。
"絶対音感のある子供は音楽を習っていない子供に比べて平均IQが10以上高い"という研究結果が1960年前半ごろ発表された。
マジカルナンバー7±2
知覚判断の研究で有名「Miller, G. a. (1994). The magical number seven, plus or minus two: some limits on our capacity for processing information. 1956. Psychological review, 101(2), 343-52. 」
http://psychclassics.yorku.ca/Miller/
人間が短期的に覚えられる量は少なく、多くとも一桁。1オクターブに白鍵は7つ、黒鍵は5つ。
知覚研究では、周波数を物理量、音の高さを心理量とよび、区別している。
1990円の調査研究では、音を聞いて色を感じる色彩感はある程度共通点を持つという発表がされた。ハ長調が白、ト長調は青、ニ長調・ホ長調は橙や黄色、イ長調は赤、という色彩イメージが多かった。
1939年の国際規約において、20℃においてA音は440Hzと制定されたにもかかわらず、オーケストラの基準音は上昇し続けている。日本の場合は、主要オーケストラ、音楽大学、ヤマハは442Hz、ベルリン・フィルやウィーン・フィルは445〜446Hzを基準にしている。
絶対音感の2つの問題点
周波数
ラは440Hz
ド:高いド=X:2X
ド:ソ=X:3X/2
ド:ファ=X:4X/3
- 作者: 最相葉月
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/04
- メディア: 文庫
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