読書

『優>良>可>不可』で本を評価してます。

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食べる人類誌

食べる人類誌―火の発見からファーストフードの蔓延まで』を読んだ。
長い。読むのにすごく時間がかかった。
内容は面白かった。人類の歴史を食べ物という切り口から述べている本。
原始時代から現代までの、食べ物に関する考え方が変わっていくイメージがつかめた
文章だけの本なので、もし写真や図があったとすれば、もっと分かりやすくなったと思う。


メモ
偉大な新聞王ノースクリフ卿は記者たちにこう教えていた。大衆の興味が長続きするテーマは四つある。すなわち犯罪、愛、金、そして食べ物だと。そのうち根本的で普遍的なテーマは最後のひとつだけである。(p.7)


食べ物の歴史的革命は7回起きた

  1. 調理の発明
  2. 食べ物は生命を維持するだけのものではないという発見
  3. 牧畜革命
  4. 植物による農業
  5. 食べ物を社会文化の手段や指標として扱うようになること
  6. 遠隔地貿易と文化交流で食べ物が果たす変容効果の役割
  7. 過去500年間の生態革命「コロンブスの交換」と食べ物が占める位置


調理の発明
火による調理が特別扱いされるのは、社会的効果にある。
調理とは、たんに食べ物を煮炊きする方法ではなく、決まった時間に集団で食事することを中心にして社会を組織する方法である。加熱調理は、消化しやすくすることで大量に食べられるようにすることができるだけでなく、有毒なものを食べられるようにすることができる。

キャッサバには2種類ある。

スイート・キャッサバは甘みの少ないサツマイモのような味で、茹でるなどして食べられる。
アマゾン川流域の人びとの主食だったビター・キャッサバは、1食に相当する量をそのまま食べれば死んでしまうほどの青酸を含んでいる。ビター・キャッサバは青酸が含まれているが、すりつぶしたり、すりおろしたりした後、水につけて加熱すると青酸を消すことができる。


食べることの意味
グアドループ島のカリブ人は「人間の肉はとても美味しい。世界中でこれほど美味しいものはほかにない」と言った。コロンブスはアラワク語の ”カリバ” を ”カニバ” と聞き間違えた。つまり ”カニバル(人食い人種)” と “カリビアン(カリブ海)” の語源は同一である。


耕作で作る主食は神聖な食べ物と考えていた。耕作 (cultivation) は崇拝 (cultus) という理由である。


モーセが禁じた肉と許可した肉には、おしなべて、両者を区別するような清潔さの違いはまったくといっていいほどない。
説得力のある合理的な説明は、人類学者メアリー・ダグラスの説である。
『食べることを禁じられた動物はそれぞれの種類の中で特異な存在である。陸生なのに地面をのたくる動物(ヘビ、イモリ、クモ、ムカデなど)や、足が四本あるのに空をとぶ動物(昆虫類のほぼすべて、爬虫類、老成類)、ヒヅメが割れているのに反芻類でない動物(ラクダ、イワダヌキ、イノシシ、野ウサギ、豚、馬、ロバなど)には、神聖であるために必要な完全さがないためである』


「祖父の魂が鳥に宿っているかもしれない」と考えるブッダのような世界観では、肉を食べる行為はみなカニバリズムや親殺しになりかねない。そのために菜食主義者になる。


ばかげた話が幅を効かせる風潮では、科学的な発見はすぐにイカサマ師の手に渡る。いまの日本もそうと言える。


食べるための飼育
エスカルゴは、現代の高級料理の中で「ロブスターやフォアグラとならぶ」確固たる地位を占めている。だが、食通のあいだでの評判には波があり、現在のような高い位置を占めるようになったのは比較的最近のことである。


狩猟は食べものを手に入れる非常に効率の良い方法である。動物の飼育や野良仕事のように労力をかける必要がないからだ。
猟犬が職を全うしたばあい、その名誉のしるしは、人間の副葬品より多いことさえある。狩猟の腕によって地位が決まる社会では猟犬も正式なメンバーだった。
どんな環境でも、人間がやってくるとその後には生物種の月滅が続いた。ディプトドンやオオカンガルー、人間のヨウン倍の大きさがある飛べない鳥、体重が一トンもあるトカゲなど。


中国料理では、乳製品が重要な役割を演じることはない。


食べられる大地
非農民が農業を始めようとしないのは、大抵の場合、手段や知識がないからではない。採集民は一般に、植物や繁殖の仕組みに関する知識では農民に引けをとらない。農業を始めようとしないのは、楽な生き方のほうがいいという合理的な選択からである。


雑学

  • 現在の数ある西洋料理の中で、調理を施さずに生きたまま食べるのは牡蠣だけ (p.16)
  • スーダンのヌエル族の恋人たちは、頭からシラミをとって食べさせあうことでたがいの愛情を示す (p.17)
  • 一部の騎馬遊牧民は、遠乗りの際に肉を鞍の下に置く。こうすると肉が馬の汗と混じりあいながら温められ、押しつぶされて、たべられるようになる。(p.20)


食べる人類誌―火の発見からファーストフードの蔓延まで

食べる人類誌―火の発見からファーストフードの蔓延まで