高度に発達したマーケティングは詐欺と見分けがつかない
『マーケティングは「嘘」を語れ!』を読んだ。
感想
正しい、吐き気がするほど。
マーケティングを学んでる人にとっては非常に良い本だと思う。
ぼくもマーケターなら、この本を参考書として肌身離さず仕事をしているだろう。中身も面白い。
確かに面白いしタメになる。
しかし、ぼくはマーケティングが苦手だ。
正直、ものを売るためだとしても、事実でないことを伝えてほしくない。
嘘を伝える全ての企業が JARO 日本広告審査機構 によって制裁されて欲しい。理系の僕は、レポートや論文を執筆する際に「事実以外を伝えるな」と散々教育されてきた。
そのため、事実を無視して嘘(物語)を伝えようとするマーケティングを受け付けない。
飲むだけで痩せたりモテたりする薬、聞き流すだけで語学が身につく音楽、1年で2倍になる投資 etc.
詐欺との違いが分からない。
この本は、『マーケティングは「嘘」を語れ!』というタイトルが、マーケティングのために『嘘』を語っているという。
実際、タイトルを「マーケティングは「物語」を語れ!」でも良いが、話題性がないということで現在のタイトルにしたというような記述がある。
メモ
素晴らしい物語を語る。
「事実」でなく、「一貫性と正当性」があることが真実。また、マーケターが信頼されていなければ物語を語っても成功しない。
消費者の世界観が聞きたがってる「声」と一致すれば物語は期待とシンクロする。
マーケターとして成功するには、ただ、消費者が信じようとする物語を提供すればいい。
素晴らしい物語は以下のものを提供する
- 近道
- 奇跡
- 金銭的利益
- 社会的成功
- 安全性
- エゴの満足
- 愉快さ
- 喜び
- 帰属意識
マーケティングは嘘を語る
ガラス細工師ゲオルグ・リーデルの作るワイングラスのマーケティングでは嘘を語っている。「ワインの『メッセージ』つまり芳香や味わいをどれだけ伝えられるかはグラスの形次第です」と。
ワイン専門家やワイン鑑定家もリーデルのグラスで飲むワインは最高だと言っている。実際に、リーデルのワイングラスを使って飲んだほうが美味しいと感じる結果もある。
しかし、二重盲検法(ワイングラスの形を知ることのない実験)では、味に差は出ない。つまり、マーケティングがワインを美味しくしたのである。
ウォンツとニーズ
マーケターが利益を得るのは、消費者が「必要なもの」でなく「欲しいもの」を買うからである。消費者は、時間の節約につながるとか、自分を可愛くしてくれる、自分を優秀にしてくれると信じるものを欲しがる。
成功するマーケティング
- マーケティング以前に消費者の世界観・枠組みが存在する
- 人びとは新しいものにだけ気づき、その上で推測する
- 物語は第一印象から始まる
- 優れたマーケターは、私達が信じるような物語を語る
- ホンモノを持っているマーケターが成功する
履歴書を書くときには自分が募集条件に合うかを書くのではなく、
常識破りのものを作りだし効果的な物語を語る能力について書くべき。
枠組みとは、ある人がすでに抱いている偏見を強化するような言葉、画像、交流である。人びとは、自分の世界観がお気に入りで、それを大切にし、強化してもらいたいと思っている。
マーケティングは「嘘」を語れ!―顧客の心をつかむストーリーテリングの極意
- 作者: セスゴーディン,Seth Godin,沢崎冬日
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2006/02
- メディア: 単行本
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