凛として笑いの研究ーーなぜ人は笑うのか
『笑いの研究―ユーモア・センスを磨くために』読んだ。
感想
お笑いの研究に関する本だと思って購入したが、これは人間の笑いについて研究したものだった。
主に以下の3つのテーマで書かれている。
- 人間関係における笑い
- 笑いと健康
- 笑いのメカニズム
この本で、ユーモアセンスを磨くことは無理だと思う。あくまで感情としての "笑い" の知識を増やすことに重点を置かれている。
「第4章 笑いを創造して」では、古典的な笑い話やダジャレ、ジョークなどが紹介してある。
メモ
笑うのは人間だけではない。
今日の動物学者の指摘によると、サル、ゴリラ、チンパンジーなどの霊長類になると、笑いの表情を観察することができるという。
喜怒哀楽の四大感性の中で最も表出しやすいのが怒りの感情。これはたいていの動物が表現できる。
笑いに近い表情をとれる動物は社会性に富んだものたちだけだ。
関西の笑い、東京の笑い
大阪は伝統的に笑いの文化が栄えたところで、大阪人は笑いに関して寛大。普段の会話の中に笑いに意を用いることから、「協調としての笑い」が発達した。
東京は、笑いを抑制する文化を生み出した。サムライ社会の伝統から、「序列を意識した笑い」が発達した。「武士が笑うのは三年に一度、片頬が緩む程度にしろ」という意味の「武士は3年に片頬」という言葉があるくらい、武士社会では笑いは抑圧されていた。
例えば、大阪の「貧乏花見」という落語は、東京に移って「長屋の花見」となった。
「貧乏花見」は、貧乏な長屋の連中が、酒の代わりに茶を、ごちそうの代わりにたくあんを持ち寄る話。
「長屋の花見」は、大家が長屋の連中を誘って花見をする。大家が用意したごちそうが、茶だったり、たくあんだったり、と貧相なもので大家に文句をつける話。
縦社会は笑いを抑圧する
日本の旧軍隊では、出っ歯の兵隊は災難を被った。なぜなら、気をつけ!の号令がかかっても、白い歯が出てしまうのである。それが笑っているとみなされ、「貴様、何を笑っている!」とビンタをくらう。
英語での笑いを表す言葉
- ラーフ:声を立てて笑う
- スマイル:声を立てないで顔をほころばせる
- グリン:歯を見せてニヤニヤ笑う
- ギグル:声を殺すようにクスクス笑う
- スニアー:フフンと冷笑する
- ディキュル:嘲笑する
- 作者: 井上宏,昇幹夫,織田正吉
- 出版社/メーカー: フォーユー
- 発売日: 1997/03
- メディア: 単行本
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