読書

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官能小説は思った以上に奥が深い

教養としての官能小説案内 (ちくま新書)』を読んだ。

官能小説は想像していた以上に奥が深い。官能小説自体はほとんど読んだことがなく、卑猥な単語を比喩を用いて表現する小説というイメージがあった。

それぞれの官能小説作家の説明と引用文があって、違いが分かりやすい。それぞれ文章に差異があることに驚いた。官能小説の発禁本や時代背景なども奥が深い。

教養としての官能小説というタイトルどおり、様々な意外な発見があった。Amazonレビューで4.5というのも納得だ。かなり面白いと感じた。かなりオススメ

 

メモ

初期SM小説のマニアからは、現在のSM小説に違和感を覚えるそうだ。彼らは、女性を縛り痛みに悶えている様子に興奮する。現在のSM小説では、最終的にセックスというノーマルな行為に持ち込むため、変態的ではないと感じる。

 

男性作家が女性作家の変名を使い、官能小説を書くことは一般的。さらに、女性作家が官能小説を書くという状況に、興奮する読者もいるということを知った。私は、この叙述トリックのような、小説自体に興奮するという、メタな状況が面白いと感じた。

 

官能小説も推理小説のようにジャンル分けがあるということを知った。推理小説では社会派、本格、ハードボイルドなどがあるが、官能小説では失神派、痴漢派、子宮感覚派などがある。女流作家は男性にはわからない子宮の感覚を官能小説に取り込んだことが革命的だった。

 

戦後に始まった官能小説が暗喩やオノマトペを多用する理由は、性表現に制限の多かった時代に適応することから始まった。しかし、現在では直接的表現をするよりも婉曲的表現の方が興奮すると感じているからそういうようにしている。また、アナルは性器でないというのは、映像でも文章でも同様らしく、性表現に厳しい時代でもアナルでは直接的表現を用いている場合があった。

 

舘淳一氏の小説は、映像的視覚的な表現が多いらしいので、興味がある。

 

教養としての官能小説案内 (ちくま新書)

教養としての官能小説案内 (ちくま新書)